「ロボットが投げたボールをロボットが打つ」システムの開発


概要

従来の知能ロボットは、人間と比較してその動作が緩慢であった. 一方、産業用ロボットは、一定の繰り返し作業に対しては高速の動作が実現されていたが、 特定の繰り返し作業に特化した動作しか実現されていなかった. また、両者ともその対象は静止状態あるいは静止状態に近いものが想定されており、 動きを伴い変化する対象に対しての作業は実現できていなかった. その意味で、人間の能力には遠く及ばなかった.

今回、人間の能力を超えるロボットとして、 動的に変化する対象を扱うロボットの実現をめざし、 その第一歩として、 スローイングロボットバッティングロボット を開発し、その連続動作を実現した.

このシステムは、 ①人間のように多指ハンドを用いてボールをコントロールし、 目標位置に投球するスローイングロボットと、 ②高速ビジョンを用いてボールを確実に打つバッティングロボットを組み合わせたものであり、 今回、これら2つのロボットを用いてボールを投げて打ち返すという連続的な動作を実現した.

スローイングロボットでは、 1秒間に180度の開閉動作を10回実現する指を備えた高速多指ハンドを開発し、 腕と指を巧みに操った器用なリリース動作によってストライクゾーンへの投球を実現した. バッティングロボットは、1秒間に1,000枚の画像を処理する高速ビジョンにより、 ボールの軌道を的確に捕らえ、ストライクのボールを確実に打つことが可能である.

これらのロボットは、 従来のロボットの動作速度の限界を打ち破る運動性能と人間を超える高速の認識機能を実現したものである。 従来のロボットが静止状態に近いものを対象としていたのに対して、 動的に変化する対象物に対してもロボットの応用可能性を広げたものであり、 人間を超える能力を有するロボットの研究を加速するとともに、 生産工程の高速化や飛んでいる対象を扱うロボット等、 今後のロボット技術の対象範囲を飛躍的に拡大する可能性を示唆するものである。



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参考文献

  1. 妹尾拓, 並木明夫, 石川正俊: 2台のマニピュレータによる非接触状態を利用した高速ダイナミックマニピュレーション, 日本機械学会ロボティクスメカトロニクス部門講演会2009 (福岡, 2009.5.25)/講演論文集, 1A1-B09
東京大学 情報理工学系研究科 システム情報学専攻 ・創造情報学専攻 / 工学部 計数工学科 石川奥研究室
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