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高速画像系列における動的背景差分に向けた標的モデリング

概要

人間の目の性能を大きく超えたフレームレートで観測すると超人的な応用が可能となるが, フレームレートが増加すると計算コストも同様に増加してしまう. しかしながら最初に画像中の注目領域を定めると,その後はより洗練された処理がその領域内でのみ可能となる. 一方で高速な画像系列を用いることで,シーン中の出来事のより深い理解も可能である. 本研究では,前述の2点に対応した背景差分アルゴリズムを提案する. すなわち1000fps近い速さで注目領域を決定し,同時に通常のフレームレートにおける情報も利用して,単なる背景差分に勝る処理を可能とする.

提案する背景差分アルゴリズムは, 物体の移動などによって変化するシーン中の領域(画像中のピクセル)を特定するものである. しかし背景中に紛れ込む移動体の影は複雑な要素の一つで,前景と誤認識しかねない. 前景ではなく影として検出する先行研究(Prati et al. CVPR'99)では, 暗過ぎないが背景色よりもやや暗いものを本質的に影と定義している. そのため,輝度が大きく異なると前景と識別されてしまう. しかしながら,早い段階で影が検出されていると, 問題となる領域が運動による影なのかを学習することができ, 影が暗く変化しても対応することができる.

提案システム. 動画像系列は二種類に分割され, 片方は低い更新レートでモデル全体を更新するのに利用し, もう片方は識別結果画像が与えられた際に最大更新レートにおいて急速に変化する領域のモデルを更新するのに利用する. 最大更新レートにおける最終的な前景のマスクも同時に生成する.

提案するアルゴリズム中では,背景モデルは各ピクセルに紐付いており,HSV色空間における可変数要素の混合ガウスモデルを用いる. 各ピクセルはモデルの一部であり,モデルが与えられた場合の各ピクセルの確率が特定の定数値より大きいかどうかを示す. モデルは標準的なフレームレートと高速なフレームレートの二つのサイクルで更新される. 前者は画像中の全ピクセルに対するモデルを更新するものであるが,本研究のコントリビューションは後者にある. 後者において,現在のモデルに基づいて画像を識別し, その後標的モデルを次の特性をもつピクセルにおいて更新する. 1)影として識別されたピクセル. 2)前景として識別されるが,その近傍は背景として識別されるピクセル. 1)はモデルに影の輝度値を導入し,前景として識別される前に背景中の影として識別するのに役立つ. 2)は木々の揺れる葉や波のような,周期的な背景の動きがある場合に対応することができる.

三種類のシーン. 各画像は左から右へ順に,撮影画像,前景の真値,学習無し,従来手法(Z. Zivkovic, ICPR'04),提案手法を意味する. 上二つのシーンでは,従来手法は前景を正しく識別できていないが,提案手法ではほぼ識別できている. 学習無しの画像からも分かるように,人の腕や手における誤識別は背景色に似ているため生じている. 下二つの実験結果からも,提案手法における対象への学習手法によって急速に変化する背景が正しく識別されており,前景領域も前景として維持されていることが分かる. 各画像において,黒色が背景,白色が前景,灰色が影を意味する.

参考文献

  1. Nils Stål, Nils Bergström, Masatoshi Ishikawa: Exploiting High-Speed Sequences for Background Subtraction, 3rd Asian Conference on Pattern Recognition ACPR2015) (Kuala Lumpur, Malaysia, 2015.11.3-6)

東京大学 情報理工学系研究科 システム情報学専攻 ・創造情報学専攻 / 工学部 計数工学科 石川渡辺研究室
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