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可変焦点レンズによる色消しアダプティブダブレット

概要

光学では色収差は典型的な収差の一つであり,異なる波長の光に対する異なる屈折率が原因となる.屈折率は波長が長くなるほど低下し,この物理的現象により全ての色に関してレンズは同一の収束点に焦点を合わせることができない.ゆえに画像が鮮明でなくなり,システムの解像度が低下してしまう.

色収差を最小限に抑える最も一般的な解法は色消しダブレットであり,相対的に分散の低いレンズと高いレンズを組み合わせるものである.典型的な例は正のクラウンレンズと負のフリントレンズの組である.基本的に,相対分散の小さなクラウンレンズは前に置き,ダブレットと正負が同じ屈折力とし,相対分散の大きなフリントレンズは後ろに置き,ダブレットに対し正負が逆の弱い屈折力をもつようにする.この技術のおかげで,赤と青など異なる波長の光が同じ位置に焦点を結ぶことができる.

我々は2つの可変焦点レンズを用いた適応的色消しダブレットを示す.2つの可変焦点レンズは液膜液構造をもつため大口径となっており,高低の分散特性をもつように異なる液体を採用している.単一の可変焦点レンズと比較して,新しいダブレットの色収差は抑制されており,色による焦点距離の変動が焦点距離の2.5%から0.06%に改善された.適応的色消しダブレットの最大の長所は,2つの可変焦点レンズをその焦点距離をある条件のもと協調制御させたとき,ダブレットは動的な焦点距離と色収差補正を同時に実現可能となることである.

AdaptiveDoublet_concept1
図1 (左)単一レンズでの色収差.(右)クラウンレンズとフリントレンズを用いた典型的な色収差補正.
AdaptiveDoublet_concept2
図2 色消し可変焦点ダブレットの模式図.2つの可変焦点レンズから成り,異なる分散特性となるように異なる種類の液体ペアを封入してある.
下記の比較図面は、有効焦点距離である500mmの対象による、単一アダプティブレンズと色消しアダプティブダブレットのシミュレーション結果である。ほかのプロット図面はクリック ここ
Chromatic focal shift Adaptive Singlet Chromatic focal shift Adaptive Doublet
図3 (左)単一アダプティブレンズの色による焦点距離変動 (右)色消しアダプティブダブレットの色による焦点距離変動

参考文献

  1. Lihui Wang, Hiromasa Oku, Masatoshi Ishikawa, Adaptive achromatic doublet design by double variable-focus lenses, SPIE Optics + Photonics 2014 (San Diego, California, USA, 2014.08.17-21) / Proc. of SPIE, Vol. 9193, 91930O-1 (Oral Session) [DOI:10.1117/12.2061203]
  2. Lihui Wang, Hiromasa Oku, Masatoshi Ishikawa, An improved low-optical-power variable focus lens with a large aperture, Optics Express, Vol.22, Issue 16, pp. 19448-19456 (2014)[PDF(2.2M)][DOI:10.1364/OE.22.019448]
  3. Lihui Wang, Hiromasa Oku, Masatoshi Ishikawa, Variable-focus lens with 30 mm optical aperture based on liquid--membrane--liquid structure, Applied Physics Letters, Vol.102, 131111 (2013)[PDF(1.1M)][DOI:10.1063/1.4800603]*AIP

    *AIP © 2013 American Institute of Physics. This article may be downloaded for personal use only. Any other use requires prior permission of the author and the American Institute of Physics. The article appeared in L. Wang et al.,Appl. Phys. Lett. 102, 131111 (2013) and may be found at http://link.aip.org/link/?APL/102/131111.


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