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高フレームレート全焦点画像合成のための高速可変焦点光学系

概要

近年では自動車の衝突や動物の飛翔などの高速現象を撮影するために,しばしば高速度カメラが使われる. 高速度カメラは高フレームレートで撮影するため露光時間が短く,十分な光量を確保するために明るいレンズを使う必要がある. しかし光学で知られている性質から,明るいレンズを使用すると被写界深度が浅くなってしまう.

被写界深度とはピントが合っている奥行きの範囲のことで,被写界深度が浅いとピントの合う範囲が狭まり, 観察したい対象の一部にしかピントが合わない,動き回る動物がすぐにピントから外れてしまうなどの問題が生じる. この被写界深度を深くする手法として,全焦点画像合成という技術が存在する. これは異なる位置に焦点の合った複数枚の画像を合成して被写界深度を深くするというものである. この全焦点画像合成に必要な焦点位置の異なる複数枚の画像を用意するためには, 撮影に用いる光学系の焦点位置を動かす必要がある.しかし今までの技術ではこれを高速に行うことができなかった.

本研究では,当研究室で開発された 液体可変焦点レンズであるダイナモルフレンズ を用いた光学系を開発し,焦点位置変化の速度を飛躍的に向上させた. この光学系で振幅約30mm,振動数500Hzで焦点位置を変化させながら8000fpsで撮影した画像を全焦点画像合成することで, 被写界深度の拡張された映像を1000fpsという高速度カメラに匹敵する高フレームレートで出力することができた.

Developed optical system layout Sequences of original (top) and synthesized images (bottom)
図1 構築した光学系 図2 被写界深度の拡張(上)振幅約30mm,500Hzで焦点位置を振動させながら撮像した8000fpsの画像から全焦点合成した, 1000fpsの合成画像系列. (下)全焦点合成を行わず,ある焦点位置における画像を1000fpsの画像系列として示したもの.

動画


揺れる紐 回転体




手前から奥に並んで揺れる紐を計測した結果の動画.左は全焦点合成をしない場合で,右は,全焦点合成を行った場合の結果が示されている.共に1000fpsのものを30fpsで再生している.高速に焦点位置を制御できるので,対象が運動していてもその動きが無視できる時間内に焦点位置のスキャンができ,被写界深度が拡張されていることがわかる.

手前から奥に並んで回転する文字列を計測した結果の動画.

参考文献

  1. Nobuyuki Mizoguchi, Hiromasa Oku, and Masatoshi Ishikawa : High-speed variable-focus optical system for extended depth of field, IEEE International Symposium on Industrial Electronics (ISIE 2009) (Seoul, 2009.7.8) / Proceedings, pp.1668-1673 [PDF (988K)]*IEEE (口頭発表)
  2. Hiromasa Oku and Masatoshi Ishikawa : High-speed liquid lens with 2 ms response and 80.3 nm root-mean-square wavefront error, Applied Physics Letters, Vol.94, 221108 (2009) [PDF (312K)] [doi:10.1063/1.3143624] *AIP
  3. 奥寛雅,門内靖明,石川正俊 : ミリセカンド高速液体可変焦点レンズとそのロボットビジョン応用への可能性,第26回日本ロボット学会学術講演会(神戸,2008.9.11)/予稿集CD-ROM, 3I1-03 [PDF (944K)]
  4. 奥寛雅,門内靖明,石川正俊 : ミリセカンド高速・高解像力液体可変焦点レンズ, 第69回応用物理学会学術講演会 (名古屋,2008.9.2)/講演予稿集,2a-ZG-9
  5. 奥寛雅,石川正俊:液体界面を屈折面とする高速可変焦点レンズの構造, 日本光学会年次学術講演会・日本分光学会秋季講演会,Optics & Photonics Japan 2006 (東京,2006.11.9)/Post-Deadline 論文集, pp.10-11
  6. Hiromasa Oku, Masatoshi Ishikawa:Rapid Liquid Variable-Focus Lens with 2-ms Response, 19th Annual Meeting of the IEEE Lasers & Electro-Optics Society (Montreal, 2006.11.2)/Proceedings pp.947-948 [PDF (527K)] *IEEE

*AIP © 2009 American Institute of Physics. This article may be downloaded for personal use only. Any other use requires prior permission of the author and the American Institute of Physics. The article appeared in H. Oku et al.,Appl. Phys. Lett. 94, 221108 (2009) and may be found at http://link.aip.org/link/?APL/94/221108.

*IEEE © 2006, 2009 IEEE. Personal use of this material is permitted. However, permission to reprint/republish this material for advertising or promotional purposes or for creating new collective works for resale or redistribution to servers or lists, or to reuse any copyrighted component of this work in other works must be obtained from the IEEE.


東京大学 情報理工学系研究科 システム情報学専攻 ・創造情報学専攻 / 工学部 計数工学科 石川渡辺研究室
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