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高速フォーカスビジョン

概要

多くのビジョンセンサは, 映像をセンサ面に投影する光学系と投影された画像を取得・処理する撮像・処理部からなる. 近年の情報処理技術の飛躍的な進歩を背景として,撮像・処理部の性能の向上,特に高速化が著しく, 研究レベルでは1000 fpsで画像の取得と処理を完了できるものが報告されている.

しかし,一方で,もう一つの構成要素である光学系の応答はいまだ遅く, 焦点距離の調節やズーム比の変更には1秒近く必要である. 光学系の焦点調節は,これまでそのほとんどが機械的に内部のレンズ(群)を動かすことで実現されており, それ以外の方法はほぼないに等しい.レンズは質量が重く,応答の高速化は非常に難しかった. ところが,光学系は画像計測の入り口に位置しており,その特性を対象や環境に調節することで, より的確に対象を認識することが可能であったり, もしくは通常は計測できない対象の奥行き情報が計測できるなど, 様々なメリットがあることが知られている.そのため,光学系の高速化への要求は強い.

これに対し我々は,ミリ秒オーダで光学特性を制御可能な光学素子である, ダイナモルフレンズを開発してきた. そこで,ダイナモルフレンズの利用を前提として, ミリ秒オーダで光学特性を制御可能な光学系とやはりミリ秒オーダで高速に画像の取得から処理までを行う高速ビジョンとを組み合わせることで, 光学系のボトルネックをミリ秒のオーダで完全に解消した「高速フォーカスビジョン」を提案する.

提案する高速フォーカスビジョンの有効性を検証するために,特にフォーカスの制御を目的とした高速フォーカスビジョンの 試作システムを構築した.さらに,試作システムを用いて,コントラスト法に基づく 高速オートフォーカス実験と, 運動する対象にフォーカスをあわせ続けるフォーカストラッキング実験とを行った. コントラスト法は画像に含まれる高空間周波数成分を評価することで合焦を判定する手法で応答の高速化が難しいことで知られるが, 高速オートフォーカスでは15.8msで合焦を実現し, また,フォーカストラッキング実験では運動する対象にフォーカスをあわせ続けることに成功した.

Results of high-speed autofocusing
図1 高速オートフォーカス実験結果.時刻0より焦点位置を移動させながら合焦測度(d)を画像から計測し, 合焦測度が最大だった場所に焦点をあわせている.図より15.8msですべての処理を終えていることがわかる.
Image sequence without focus tracking (top) and with focus tracking (bottom)
図2 高速フォーカストラッキングの実験結果. フォーカストラッキングなしの場合の対象画像系列(a)とフォーカストラッキングを有効にした場合の対象画像系列(b)

動画




参考文献

  1. Hiromasa Oku and Masatoshi Ishikawa : High-Speed Liquid lens for Computer Vision, 2010 IEEE International Conference on Robotics and Automation (ICRA 2010) (Anchorage, 2010.5.5) / Conference Proceedings, pp.2643-2648 [PDF (1.6MB)]*IEEE
  2. Hiromasa Oku and Masatoshi Ishikawa : High-speed liquid lens with 2-ms response and 80.3-nm root-mean-square wavefront error, SPIE Photonics West 2010 (San Francisco, 2010.1.25) / Proceedings, 7594-05 (Oral Session) [PDF (2.1MB)]
  3. 奥寛雅,石川貴彦,石川正俊 : 光学系と画像処理系の速度を整合した高速フォーカスビジョン, 第27回日本ロボット学会学術講演会 (横浜,2009.9.17)/予稿集,3R1-03 [PDF (1.1M)]
  4. 奥寛雅,石川貴彦,石川正俊 : 光学系と画像処理系の速度を整合した高速フォーカスビジョン,日本ロボット学会誌,Vol.27,No.7,pp.739-748 (2009)
  5. Hiromasa Oku and Masatoshi Ishikawa : High-speed liquid lens with 2 ms response and 80.3 nm root-mean-square wavefront error, Applied Physics Letters, Vol.94, 221108 (2009) [PDF (312K)] [doi:10.1063/1.3143624] *AIP
  6. 奥寛雅,門内靖明,石川正俊 : ミリセカンド高速液体可変焦点レンズとそのロボットビジョン応用への可能性,第26回日本ロボット学会学術講演会(神戸,2008.9.11)/予稿集CD-ROM, 3I1-03 [PDF (944K)]
  7. 奥寛雅,門内靖明,石川正俊 : ミリセカンド高速・高解像力液体可変焦点レンズ, 第69回応用物理学会学術講演会 (名古屋,2008.9.2)/講演予稿集,2a-ZG-9
  8. 奥寛雅,石川正俊:液体界面を屈折面とする高速可変焦点レンズの構造, 日本光学会年次学術講演会・日本分光学会秋季講演会,Optics & Photonics Japan 2006 (東京,2006.11.9)/Post-Deadline 論文集, pp.10-11
  9. Hiromasa Oku, Masatoshi Ishikawa:Rapid Liquid Variable-Focus Lens with 2-ms Response, 19th Annual Meeting of the IEEE Lasers & Electro-Optics Society (Montreal, 2006.11.2)/Proceedings pp.947-948 [PDF (527K)] *IEEE

*AIP © 2009 American Institute of Physics. This article may be downloaded for personal use only. Any other use requires prior permission of the author and the American Institute of Physics. The article appeared in H. Oku et al.,Appl. Phys. Lett. 94, 221108 (2009) and may be found at http://link.aip.org/link/?APL/94/221108.

*IEEE © 2006, 2009 IEEE. Personal use of this material is permitted. However, permission to reprint/republish this material for advertising or promotional purposes or for creating new collective works for resale or redistribution to servers or lists, or to reuse any copyrighted component of this work in other works must be obtained from the IEEE.


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